64 其の安きは持し易し(無為の実践(2)) 老子 無知無欲のすすめ
其の安きは持し易し、其の未だ兆さざるは謀り易し。其の脆きは泮かし易し、其の
微なるは散らし易し。これを未だ有らざるに為し、これを未だ乱れざるに治む。
合抱の木も毫末より生じ、九層の台も塁土より起こり、千里の行も足下より始まる。
為す者はこれを敗り、執る者はこれを失う。是を以て聖人は為すこと無し、故に敗
るることも無し。執ること無し、故に失うことも無し。
民の事に従うは。常に幾んど成るに於いてこれを敗る。終わりを慎むこと初めの如
くなれば、則ち事を敗ること無し。是を以て聖人は、欲せざるを欲して、得難きの
貨を貴ばず、学ばざるを学びとして、衆人の過ぎたる所を復し、以て万物の自然を
輔けて、而して敢えて為さず。
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