【10】「動じない心」の作り方
第2章
「不安は妄想にすぎない」ことを知る
〇「わたしは嫌われている」という思いは、妄想にすぎない
人間の想像力が勝手に作り上げる「不安」という妄想の中で、も
っとも一般的なのは「わたしは嫌われている」というものではない
でしょうか。
「わたしは、職場の上司から嫌われている」
「恋人は、わたしと別れたがっている」
「友人は、みな、わたしを仲間外れにしたいと思っている」
「職場の同僚たちは、わたしを迷惑な存在だと思っている」
「親友だと思っていた相手が、わたしを裏切ろうとしている」
ここに挙げたような思いの、おそらくは八割から九割が、その人
が勝手に作り上げた妄想ではないでしょうか。
実際には、上司も、恋人も、友人も、そのように考えていないか
もしれないのです。
上司は信頼してくれているはずです。恋人は大切に思ってくれて
いるでしょう。友人は、以前と変わらず、暖かい友情を持ってくれ
ています。にもかかわらず、自分で勝手に「嫌われている」と思い
込んでしまうことがあるのです。
では、なぜ、そのようなこと妄想にとらわれてしまうのでしょう
か。その原因は、主に次のようなことだと思われます。
* 多忙な生活から、心身が疲れ切っている。
* 大きなプレッシャーが負担になっている。
* 仕事や人間関係のストレスが、うまく解消されていない。
このようなマイナスの状況におちいると、人は「わたしは嫌われ
ている」という妄想にとらわれやすくなってしまうようです。
がんばりすぎない生活を心がけ、ほどよい休息を取り、心身共に
健康な状態でいられれば、不安が取り払われ、動じない心を取り戻
せるはずです。
植西 聰 氏
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