行動

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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2015年8月

2015年8月31日 (月)

【10】「動じない心」の作り方

第2章

 「不安は妄想にすぎない」ことを知る

 〇「わたしは嫌われている」という思いは、妄想にすぎない

 人間の想像力が勝手に作り上げる「不安」という妄想の中で、も

っとも一般的なのは「わたしは嫌われている」というものではない

でしょうか。

「わたしは、職場の上司から嫌われている」

「恋人は、わたしと別れたがっている」

「友人は、みな、わたしを仲間外れにしたいと思っている」

「職場の同僚たちは、わたしを迷惑な存在だと思っている」

「親友だと思っていた相手が、わたしを裏切ろうとしている」

 ここに挙げたような思いの、おそらくは八割から九割が、その人

が勝手に作り上げた妄想ではないでしょうか。

 実際には、上司も、恋人も、友人も、そのように考えていないか

もしれないのです。

 上司は信頼してくれているはずです。恋人は大切に思ってくれて

いるでしょう。友人は、以前と変わらず、暖かい友情を持ってくれ

ています。にもかかわらず、自分で勝手に「嫌われている」と思い

込んでしまうことがあるのです。

 では、なぜ、そのようなこと妄想にとらわれてしまうのでしょう

か。その原因は、主に次のようなことだと思われます。

 * 多忙な生活から、心身が疲れ切っている。

 * 大きなプレッシャーが負担になっている。

 * 仕事や人間関係のストレスが、うまく解消されていない。

 このようなマイナスの状況におちいると、人は「わたしは嫌われ

ている」という妄想にとらわれやすくなってしまうようです。

 がんばりすぎない生活を心がけ、ほどよい休息を取り、心身共に

健康な状態でいられれば、不安が取り払われ、動じない心を取り戻

せるはずです。

植西 聰 氏

2015年8月28日 (金)

【9】「動じない心」の作り方

第2章

 「不安は妄想にすぎない」ことを知る

 〇人間の不安のほとんどは、妄想にすぎない

 禅の創始者である達磨大使という人物がいます。インドで生まれ

た人ですが、中国へ渡り、禅を広めました。

 この達磨大使と慧可という弟子との間で、こんな会話が交わされ

たというエピソードが残っています。

 慧可が達磨大使に、次のように訴えました。

「わたしの心は、たくさんの不安で乱れています。どうかわたしの

わたしの心から不安を取り除いてください。そうすればわたしは、

安らかな心、動じない心で修行に打ち込むことができるでしょう」

 その慧可の訴えに、達磨大使が答えました。

「わかりました。それではあなたの心から不安を取り除いてあげま

しょう。では、まず、あなたの心から、その不安とやらを、わたし

の目の前に取り出してごらんなさい。わたしにあなたの不安を見せ

てくれたなら、その不安を取り除いてあげましょう」

 慧可は困ってしまいました。そう言われても、心にある「不安」

を取り出すことなどできません。不安とは、心の中にあるもので、

実体がないからです。

 そこで慧可は、「そうだったのか」と目が覚めました。

 慧可は、「自分が思い悩んでいた『不安』とは、じつは自分が勝

手に作り上げた妄想にすぎないのだ」と気づいたのです。

 慧可は、不安で心を乱していた、これまでの自分がバカらしくな

ってきました。

 それ以来、慧可は、動じない心で修行に励むようになったのです。

 人間には、想像力があります。この想像力のあるおかげで、人間

は偉大なことを成し遂げてきました。

 しかし、ときに想像力は、人間に災いをもたらしてしまいます。

 想像力が勝手に作り上げる「不安」という妄想に、心を乱されな

いよう心がければ、動じない心で生きていけます。

植西 聰 氏

2015年8月27日 (木)

【第1章のポイント】「動じない心」の作り方

 周りから笑い者にされても、

 自分で決めた生き方を信じる。

「平凡な人間であっても、

 努力次第で偉人になれる」と信じる。

 周りからの嫉妬を、

 さらなる飛躍の力にする。

 失敗をたくさん重ねた人間が、

 偉大なことを成し遂げられる。

 相手の評価を気にするよりも、

 自分が言いたいことを伝えることを優先する。

植西 聰 氏

2015年8月26日 (水)

【8】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇「今日の運勢」は自分の行動によって決まる

 ある女性は、毎日、テレビでよくやっている「今日の運勢」を必

ず見るようにしているそうです。

「あなたの今日の運勢は最高です」と言われた日には、気分も最高

です。

 ルンルン気分で出社でき、仕事もも楽しくこなすことができます。

会社の同僚や上司たちへも機嫌よく接することができます。

 しかし、「あなたの今日の運勢は最低です」と言われた日には、

気分が落ち込んでしまいます。暗い気持ちで会社へ行き、心が乱れ

て仕事に集中できません。そのためにミスばかり繰り返して、同僚

に迷惑をかけ、上司に叱られます。

 しかも、そこで素直に「すみません」と謝ることができずに、「

だって、しょうがないじゃありませんか」と、腹を立てて言い返し

てしまう有様です。

 確かに、人の運勢が日によって変化するのは事実でしょう。

 しかし、自分の運勢を「テレビで言われたことを信じて決める」

のは、あまりいいことではないように思います。

 自分の運勢は「自分で決める」ものではないでしょうか。

 それを「人の言うこと」で決めるのでは、気分が振り回されて、

自分らしい生き方をするのがむずかしくなってしまいます。

 鎌倉時代の思想家である吉田兼好は、『徒然草』という著作の中

で、「吉凶は人によりて日によらず」と述べています。

「はじめから、その日は運勢が吉だとか、あの日の運勢が凶だと決

まっているわけではない。その人がいい行いをすれば、その日の運

勢は吉となる。悪いことをすれば凶となる」という意味です。

 運勢というのは、その人の行為によって決まると、兼好は教えて

いるのです。

「いいことをする」ことを心がけていけば、今日も、明日も、あさ

っても、「運勢のいい日」になるでしょう。

植西 聰 氏

2015年8月25日 (火)

【7】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇誤解に基づいた話は、断固とした態度で否定する

 ある若手の男性社員が、ある日、同僚から「仕事が終わったら飲

みにいこう」と誘われたそうです。

 しかし彼は、「今日は疲れているから、まっすぐ家に帰る」とい

う理由で断りました。

 翌日、彼は上司から呼び出されました。

 そこで、まったく思いがけないことを上司から言われたのです。

「君はこの会社を辞めて、再就職先を探しているらしいね。いった

い何が不満なんだ」

 彼は、そんなことはまったく考えていませんでした。

 現在の会社にも、担当している仕事にも満足していました。

 いったいどこからそんな話が出てきたのか、彼は不思議でなりま

せんでした。

 すぐに真相がわかりました。

 昨日、彼のいない飲み会の席で、彼の同僚たちが「彼が飲み会に

来なかったのは、仕事に不満があって会社を辞めることを考えてい

るからだ」と、彼のことをうわさしていたのです。

 そのうわさが翌日になって社内に広まり、上司の耳にも届いたの

です。

 彼の同僚たちに、必ずしも悪気があったわけではなかったのです。

しかし、これが「人のうわさ」の怖いところでしょう。

 自分のとった行動が思いがけない方向へ誤解され、おかしなうわ

さが立ってしまうことはよくあることです。

 そんなうわさが流れれば、心が動揺し、傷つけられることにもな

るでしょう。

 世間の誤解や思いがけないうわさに動じないためには、そのよう

な誤解やうわさを断固とした態度で否定することです。

 あいまいな態度で対処すると、いっそう誤解を招き、うわさ話が

エスカレートしていく危険性があるからです。

植西 聰 氏

2015年8月24日 (月)

【6】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇相手がどう思うかを気にせず、自分の思いを伝える

 * 会議の席で、自分の意見をはっきり言えない。

 * 好きな人の前に出ると、何も言えなくなる。

 * 疑問に思っている点があるが、「わかりました」と言ってし

   まう。

 * 反論したいが、黙ったままでいる。

 ここに挙げたように、恥ずかしがり屋で、自分の気持ちを相手に

はっきり伝えることができない人がいます。

 このような性格の人は、ある意味「動じやすい心」の持ち主とも

言えるのではないでしょうか。言いかえれば、繊細なところがある

のです。

「自分が思っていることをはっきり言ったら、相手はどう反応する

だろうか」ということが気になります。

「くだらないことを言っていると、バカにされるのではないか」

「誰も自分の意見を相手にしてくれず、恥ずかしい思いをするので

はないか」

「強く言い返されて、悔しい思いをすることになるのではないか」

 そのようなネガティブな思いが頭を駆けめぐり、心が動揺して、

何も言えなくなってしまうのでしょう。

 自分の考え、自分の意見をはっきり言えるようになるためにも、

大切なのは「動じない心」を持つことです。そのためには「自分

の意見に相手がどう思うか」を、あまり気にしないように心がけ

ることです。

 大切なのは、「相手がどう思うか」ではありません。自分が、

「はっきりと自分の思いを伝えられるか」が重要なのです。

 自分が述べたことを相手がどう受け取るかは、相手が決めるこ

とです。こちらであれこれ想像しても、しょうがありません。

「自分の意見をはっきり言う」ことだけに集中しましょう。そう

すれば、心が動じることもなくなります。

植西 聰 氏

2015年8月21日 (金)

【5】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇失敗は「うまくいかない方法の発明」と考える

 人生には「はじめから簡単にうまくいく」ということは、めった

にありません。

 夢や願望が大きいほど、それが達成されるまでには、数多くの試

行錯誤を繰り返さなければならないでしょう。

「こうすれば、うまくいくんじゃないか」ということを試しみては

失敗し、「それではこうしてみよう」と新しく試したことも、また

失敗します。そのように失敗に次ぐ失敗を重ねていった結果、最後

に「成功」へとたどり着くことができるのです。

 ただし問題なのは、その間に周囲の人たちが様々な陰口を言って

くることです。

「あの人は、また失敗をした。あと何回失敗を繰り返せは気が済む

のだろう。どうせ、うまくいくはずがない」

「あの人が失敗を繰り返している間、私たちが迷惑をこうむってい

る。いいかげんにしてほしい」

 そのような周囲の陰口に心をかき乱されて、自分自身「今後、い

くらがんばっても、うまくいかないのではないか。成功などできな

いのではないか」という気持ちになってきて、挫折してしまう人も

多いのではないでしょうか。

 しかし、それはもったいないことです。

 発明家のトーマス・エジソンは、白熱電球の発明に成功するまで

一千回以上も失敗を繰り返したと言われています。

 エジソンは、そのことを新聞記者に問われて、こう答えたそうです。

「わたしは、一千回失敗したんじゃない。こうすればうまくいかな

いという方法を、一千通り発明したのだ」と。

 失敗を「失敗」だと考える必要はありません。エジソンの言った

通り、楽天的に「うまくいかない方法の発明」と考えてみたらどう

でしょうか。あるいは「成功へのステップ」と考えてもいいでしょう。

 そうすれば周りからとやかく陰口を言われても、心が動じなくな

ります。

 成功を手にするまであきらめない、粘り強さが身につきます。

植西 聰 氏

2015年8月20日 (木)

【4】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇周りからの嫉妬を、がんばる力に変換する

「出る杭は打たれる」と言います。有能でやる気もあり、ある分野

で頭角を現していく人は、周りの人たちの嫉妬から、とかく悪いう

わさを立てられることが多いようです。

 あるフリーのコピーライターの話をしましょう。

 彼が手がけた商品のコピーは、次々にヒットしていきました。そ

のおかげで、彼の評判は広告業界でどんどん高まっていきました。

 ですが一方で、彼の活躍を嫉妬して、よからぬうわさを立てる人

が現われました。

「彼は才能などない。仕事先の相手に取り入るのがうまいだけだ」

「ちょっとばかり仕事がうまくいっているので、いい気になってい

る。どうせすぐに落ちぶれてしまうだろう」

「彼のコピーは、じつは彼が考えついたものではない。誰かが考え

ついたものを、彼が勝手に借用している」

 そんなうわさまで流れ始めました。

 もちろん、すべて根も葉もないウソばかりなのです。しかし彼は

一時期、それらのうわさにひどいショックを受けて、仕事に手がつ

かなくなってしまいました。

 しかし、そんな彼を救ったのは、よきクライアント、よき仕事仲

間、よき友人の励ましの言葉だったのです。

 考えてみれば、悪いうわさを流す人は、ごく少数の人でした。大

多数の人たちは、よき協力者でした。そこで彼は、考え方を改めま

した。

「自分を応援してくれる人には感謝し、よからぬうわさを立てる人

の言葉は無視する」と、心に決めたのです。

 以来、彼は悪いうわさが耳に入ってきても、心が動じなくなった

と言います。

 周りの人たちの嫉妬による言葉など、気にすることはありません。

自分を応援してくれる人たちのために、どうやって役立つ仕事をす

るか、ということだけを考えることで、悩みから解放されます。

植西 聰 氏

2015年8月19日 (水)

【3】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇「自分は平凡な人間だ」と自信を失うことはない

 世の中には、信じられないような才能に恵まれた人がたくさんい

ます。

「あの人には、どうしてこんな発想ができるんだろう。どうしてこ

んなことができるんだろう」と驚かされることもよくあります。

 そんなときに、「わたしも、あの人に負けずにがんばろう」と前

向きに考えることができる人もいます。きっとその人は、動じない

心を持ち、自分の夢や願望に向かって突き進んでいける人なのでし

ょう。

 しかし一方で、「わたしがいくらがんばったって、あの人の足元

にも及ばない。わたしは何の才能もない平凡な人間なんだ」と、自

信を失ってしまう人もいるのではないでしょうか。

 このタイプの人は、自信喪失から心が乱れ、やる気をなくし、努

力することをやめてしまうかもしれません。

 後者のタイプの人に、仏教の言葉を一つ紹介したいと思います。

 それは、「昔は仏も凡夫なり」というもので、日本の古典文学で

ある『平家物語』に出てくる一説です。

「仏、つまりブッダも、最初は平凡な人間だった」という意味です。

 しかし、「悟りを得たい。安らぎを得たい。何事にも動じない心

を自分のものにしたい」という強い願望を持って一生懸命になって

考え、瞑想や修行に励んできたからこそ、偉大な人物になれたのです。

 ですから、「自分には何の才能もない」「自分は平凡な人間だ」

と悩み、心を乱すことなどないのです。

「平凡な人間だろうと、コツコツ努力を続ければ、すごいことを成

し遂げられる」

 そう信じることができれば、動じない心を貫いていけるでしょう。

植西 聰 氏

2015年8月18日 (火)

【2】「動じない心」の作り方

第1章

 「周りから言われこと」を気にしすぎない

 〇周りの人の言動を気にしない

 スペインの画家に、パブロ・ピカソという人物がいます。二十世

紀の最大の天才画家だとも言われています。

 このピカソが、世間的に高い評価を得た最初の絵画は『アビニョ

ンの娘たち』という作品だったとされています。

 しかしピカソが、その『アビニョンの娘たち』を描き出した当初、

周囲の画家仲間や画商たちには、まったく理解されませんでした。

 それは、従来の絵の常識とは、かけ離れたものであったからです。

「まるで子どもの落書きだ」

「ピカソは頭がおかしくなったのではないか」

「ピカソはふざけているのか」

 周りの人たちは、ピカソの絵をそのように悪く言い、もの笑いの

対象にしたのです。

 しかしピカソは、周りから何と言われようが、笑い者にされよう

が、自分を信じ、絵を完成させました。

 その結果、「この絵は現代芸術の扉を開いた」と高く評価された

のです。

 もしピカソが、周りの人たちから受けた悪口や、もの笑いされる

という批判に耐えられなくて描くのをやめてしまったら、『アビニ

ョンの娘たち』を完成させることはできなかったでしょう。

 ブッダも、仏教を布教するために、インド各地の放浪を始めた当

初は、その汚い身なりのために、行く先々の人たちから笑い者にさ

れたと言います。

 しかしブッダも、周りの言動など気にせずに、自分の信じる道を

貫きました。だからこそ、偉大なことを成し遂げられたのです。

 周りの人の悪口や、もの笑いなど、気にすることはありません。

 自分が信じる道だけを見て、まっすぐ前進していきましょう。

植西 聰 氏

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