行動

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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2015年9月

2015年9月30日 (水)

【27】「動じない心」の作り方

第4章

 不満を言うよりも、今に満足して生きる

 〇見せかけの努力は成果を生まない

 見せかけの努力では、大きなことを成し遂げることはできません。

 たとえば、たいした仕事などしていないのに、「忙しい、忙しい」

と騒ぎながら、職場を駆け回っている人がいます。この人は「忙し

ぶっている」だけなのでしょう。

「忙しい」と大騒ぎすることで、周りの同僚や上司たちに、「いか

に自分は仕事に熱心に取り組んでいるのか」というところを見ても

らいたいのです。

 しかし、このような「見せかけの努力」では、大きな成果の出る

仕事を成し遂げることはできません。

 残業をする必要などないのに、夜遅くまで残業したがる人もいま

す。これも「見せかけの努力」にすぎません。「残業しなければな

らないほど多くの仕事を抱え込んでいる。それだけ自分は、社内で

多くの人から頼りにされている」ということを、周りの人たちにわ

かってもらいたいのでしょう。

 しかし、残業ばかりしているわりには、仕事は一向に進まないの

が実態ではないでしょうか。

 仏教に、「信を離れたる行もなし」という言葉があります。

 鎌倉時代の仏僧で、浄土真宗の開祖、親鸞の言葉です。

「仏を信じる心を持たない人が、いくら厳しい修業を重ねたところ

で、何の悟りも得られない」という意味です。

 この言葉は、言いかえれば、「大きな仕事をするんだ、大きな成

果を上げてやる、という気持ちなどないのに、見せかけだけでがん

ばっているふりをしていたとしても、何の成果も得られない」とい

う意味にもなると思います。

 周りの人に「よく思われる」ことに一生懸命になるよりも、まず

は自分自身の心のあり方を反省することが大切です。

 仕事に対する動じない心が備われば、成果が上がり、周りからの

評価も高まるはずです。

植西 聰 氏

2015年9月29日 (火)

【26】「動じない心」の作り方

第4章

 不満を言うよりも、今に満足して生きる

 〇心のこもった贈り物が、相手の心を動かす

 好きな人に喜んでもらうために大切なことは、たくさんのお金を

使って高価なプレゼントを贈ることではありません。

 たとえ高価ではなくても、「心のこもった贈り物をする」ことが

大切なのです。

 心がこもっていてこそ、相手に「永遠にあなたのことを大切に思

います」という正直な気持ちが伝わります。

 単に高価なものをもらうよりも、そのような心のこもった贈り物

をもらうほうが、相手にとってはうれしいでしょう。

 取引先との商談を成功させるために大切なのも、やはり真心です。

 商談を成功させるために、取引先の担当者を高級料亭で接待した

り、豪勢な贈り物をしたりする、という場合もあるかもしれません。

 しかし、そのような方法よりも、もっと効果的なのは、「私たち

の会社は、一生懸命、あなたの会社のために役立ちたいと思います」

という気持ちを相手に伝えることです。

 取引先の要望を熱心に聞き出し、要望に応えられるように、誠意

を持って尽くす。そうすれば、高級料亭での接待も、豪勢な贈り物

も必要ありません。

 取引先は、喜んで契約書にサインしてくれるでしょう。

 これは前回での、仏教の教えの実践です。

「お金をかければ、相手の心を動かせる。お金を使えば、人の気持

ちをどうにでもできる」と考えるのは、誤りです。

植西 聰 氏

2015年9月28日 (月)

【25】「動じない心」の作り方

第4章

 不満を言うよりも、今に満足して生きる

 〇「お金」をかけるよりも「心」を込める

 仏教に、こんなお話があります。

 ある国の王様が、ブッダをお城に招待しました。城に入ったブッ

ダが帰るのは、夜になる予定でした。

 そこで、王様は「お客様の足元を明るくするために、道端へ一万

個の灯を置くように」と家来たちに命じました。

 城の近くに、貧しいおばあさんが暮らしていました。そのおばあ

さんは、熱心な仏教徒でした。

 お城にブッダがやってきていることを知って、自分も一つでいい

から、ブッダのために道端に灯をお供えしたいと思いました。

 そこでおばあさんは、ありったけのお金をかき集めて一個の灯を

買ってくると、道端にお供えしました。

 その夜は風の強い日で、王様が命じて置かせた一万個の灯が、風

に吹き消されてしまいました。

 しかし、おばあさんがお供えした灯だけは、どんなに風が吹いて

も消えることはありませんでした。

 それを目撃した人たちが不思議がっていたら、やがてブッダが現

れて、こう説明しました。

「おばあさんの供えた灯は、一途で、純真で、動じることのない信

仰心がこもっているから消えることがないのです。お金を使ってた

くさんのことをすることが大切なのではありません。大切なのは、

その人の心なのです」と。

 このお話には、「動じない心があれば、お金をかけなくても、偉

大なことが成し遂げられる。相手の心をも動かすことができる」

いう教えが含まれているのです。

植西 聰 氏

2015年9月25日 (金)

【第3章のポイント】「動じない心」の作り方

第3章 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 自問自答する習慣を持つことで、

 動じない心を作る。

 平常心でのぞんでこそ、

 大事な場面で実力を発揮できる。

「がんばるとき」と「休むとき」の

 メリハリのある生活を送る。

 今日という日をまじめに生きていれば、

 未来に不安はない。

 いいことがあっても、

 浮かれすぎない。

植西 聰 氏

2015年9月24日 (木)

【24】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇できないことを環境や道具のせいにしない

 ある会社員の男性は、次のように言います。

「うちの会社は、職場環境が整っていない。パソコンは古いし、数

も足りない。顧客を開拓したり、新しい商品を開発するための資金

も足りない。エアコンもオンボロで、ガーガーと騒音を立てる。こ

んな環境で、やる気が出るわけがない。もっと気持ちよく、仕事に

集中して働ける環境を整えてほしい」と。

 ある家庭の主婦は、このように言います。

「わたしの夫は、わたしの料理はまずいと言うけれど、おいしい料

理を作ってほしいんだったら、システムキッチンを買ってほしい。

立派な料理道具もそろえてほしい。食材だって、最高級のものを買

えるだけのお金を渡してほしい。そういうことをしないで、おいし

い料理を作れと言われても困る。今のままでは、やる気が出ない」

と。

 つまり二人とも、「一生懸命やってほしいのだったら、それがで

きるだけの環境や道具をそろえてほしい。環境や道具がそろわない

うちは、やる気が出ない」と言いたいのでしょう。

 しかし、これは単なる言い訳ではないでしょうか。やる気がでな

いこと、上手にできないことを、「環境や道具のせいにする」人は、

他にもいるように思います。

 そのようなタイプの人たちに、鎌倉時代の僧侶、明恵上人が残し

た言葉を紹介しましょう。

「仏道修行には何の具足も入らぬなり」というものです。

「具足」とは「道具」「整えられた環境」といった意味がある言葉

です。

「立派な装具や整えられた環境がなくても、本人にやる気があれば、

集中して仏道修行に励むことができる」というのが言葉全体の意味

です。

 この明恵上人の教えに従って、道具や環境について誰かに文句を

言うよりも、まず「自分の心がけを変える」ことから始めるとよい

のです。

 そうすれば道具や環境にかかわりなく、いい仕事ができるのでは

ないでしょうか。

植西 聰 氏

2015年9月18日 (金)

【23】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇いいことがあったときも有頂天にならない

 いいこと、喜ばしいことがあったとき、有頂天になって浮かれ回

っていると、せっかくの幸運を逃すことになりがちです。

 それどころか、かえって災いを呼ぶ原因になることもあります。

 いいことがあったときも冷静に受け止めることで、さらに運勢を

アップさせていくことができるでしょう。

『大智度論』という仏典に、次のような話が紹介されています。

 ある貧しい男が、「みじめな生活から抜け出したいのです。どう

かわたしに富を与えてください」と、毎日天に向かって祈っていま

した。

 すると、天にいる神様が、その男をかわいそうに思って「徳瓶」

を与えました。徳瓶とは、その中からお金であろうが、豪華な食べ

物であろうが、宝物であろうが、望んだものを何でも取り出せる、

魔法の瓶です。

 男は徳瓶を手に入れて大喜びでした。

 有頂天になって、徳瓶の上に乗って、浮かれ踊りました。そのた

めに徳瓶は割れてしまって、魔法の効力を失ってしまいました。

 そして、男はその後も、貧しい生活を送りました。

 この仏教説話は、「いいことがあっても、有頂天になって浮かば

れてはいけない。いいことがあったときこそ、気持ちを静め、冷静

に対処しなさい」ということを教えているように思われます。

 いいことがあったとき、動じない心で冷静に対処してこそ、その

「いいこと」を本当の意味で自分の人生に役立てることができます。

 また、その「いいこと」を、さらに人生を発展させることにもつ

なげていけると思います。

 ですから、いいことがあっても、あまり浮かばれてばかりいては

いけないのです。

植西 聰 氏

2015年9月17日 (木)

【22】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇一日一日をまじめに暮らす

 古代インドでは、「怠け者は、決算月になると慌てふためく」と、

よく言われていたそうです。

 ちなみに古代インドでは、商売人の決算月は毎年八月だったそう

です。この季節、商売人たちは、お客さんのもとを回って売掛金を

集金しました。

 古代インドでは、米などの食料品を買うにしても、着るものを買

うにしても、そのつど現金を支払っていたわけではありませんでし

た。いわゆるツケにしておいて、ある時期に、まとめて現金で支払

っていたのです。

 その支払いの時期が、八月だったのです。そこで怠け者は、八月

になると慌てふためくことになるのです。

 なぜなら、怠けてばかりいるので収入も少なく、商売人に支払う

お金が手元に残っていなかったからです。

 日本でも、昔はそういう風習がありました。

 ちなみに日本では、年末が商売人の決算月でした。

 ですから日本の昔話にも、年末になると、集金人がやってくる前

に夜逃げをしたという話がたくさんあります。

 冒頭のインドの言葉は、逆に言いかえれば、「怠けることなく、

コツコツまじめに働いている人は、支払いの時期になっても慌てる

ことはない」ということです。

「自分の将来が心配だ」という人は、現代の日本にもたくさんいます。

 しかし、大切なことは、将来のことを心配するよりも、「今を、

どう生きるか」ということだと思います。

 一日一日をまじめに、大切に生きていきましょう。そうすれば心

配も、憂いも、不安も、心には生じないでしょう。

 動じない心で生きていけるのです。

植西 聰 氏

2015年9月16日 (水)

【21】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇食事の時間は食事に、お茶の時間はお茶に集中する

 禅の言葉に「喫茶喫飯」という言葉があります。

 この言葉には「ごはんを食べるときには、ごはんを食べることだ

けに集中しなさい。お茶を飲むときには、お茶を楽しむことだけに

集中しなさい」という教えが述べられています。

 この禅の教えは、言いかえれば、「生活にメリハリを作り、動じ

ない心を育む」ための知恵とも言えるのではないかと思います。

 具体的に言えば、この「喫茶喫飯」の教えは、次のようなことを

アドバイスしているのでしょう。

 * 仕事の書類を読みながら、食事をしない。

 * 携帯メールを操作しながら、お茶を飲まない。

 * テレビを見たり、新聞を読みながら、食事をしない。

 * イヤなことを頭に思い浮かべながら、お茶を飲まない。

 * 人と口論しながら、食事をしない。

 * 手帳でスケジュールを確認しながら、お茶を飲まない。

 食事とお茶は、日々の生活の中で、大きな楽しみの一つだと思いま

す。

 しかし、ここに挙げたようなことを「しながら」だと、この大きな

楽しみを実感できなくなってしまいます。

 そのため、食事やお茶を終えた後に、「さあ、がんばろう」と気持

ちが前に向いていきません。

 ですから、食事とお茶の際には、それを楽しみ、おいしく味わうこ

とだけに気持ちを集中させましょう。

 そうすることで気持ちがリフレッシュして、やる気もみなぎってく

るでしょう。

植西 聰 氏

2015年9月15日 (火)

【20】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇「がんばる」「休む」のメリハリを大切にする

 メリハリのない、ダラダラとした生活を送っている人には、「心

が動じやすい」人が多いようです。

 大学受験のカウンセラーとして有名な人は、こんな話をしていま

した。

「東大生は、一日勉強ばかりしている人たちではない」

「東大生は日常生活の中で、趣味を楽しんだり、スポーツをする時

間も、とても大切にしている」

 つまり、「がんばる時間」と「リラックスする時間」のメリハリ

の作り方がうまいということです。

一日中勉強ばかりしているガリ勉タイプの人たちは、ストレスのは

け口がなく、気持ちが乱れやすくて、勉強への集中力を失いがちで

す。

 一カ月くらいはがんばって勉強に没頭できますが、それが長続き

しません。途中で気持ちが折れてしまって、挫折するケースも多い

のです。

 ですから、勉強する時間と同じように、趣味や遊び、スポーツな

どでリラックスする時間を大切にしている人のほうが、勉強への集

中力も増しますし、やる気も持続すると言います。

 この「メリハリが大切」という考え方は、社会人の仕事への取り

組み方にも当てはまるのではないでしょうか。

「毎日、夜遅くまで残業している。休日関係なく働いている」とい

った人は、長時間働いているわりには、仕事の成果は低いのではな

いでしょうか。やはり、「がんばる時間」と「リラックスする時間」

をバランスよく取り入れて、メリハリある働き方をしている人のほ

うが、大きな成果を成し遂げられるように思います。

 仕事一辺倒の生活を見直すと、効果が出るかもしれません。

植西 聰 氏

2015年9月14日 (月)

【19】「動じない心」の作り方

第3章

 どんな状況でも「平常心」を保つコツ

 〇声を出して、心の雑念を払う

 気持ちが乱れてどうしようもなくなったり、イライラが溜まって

爆発しそうになったときは、「声を出す」ことで乱れた気持ちを静

めることができます。

 できれば、ふだんから「元気のいい、明るい声を出す」ことを習

慣にして、心が乱れたり、いら立ったりする以前に「気持ちを落ち

着ける」「気持ちを静める」よう心がけておくのがいいと思います。

 * 朝、元気よく明るい声で「おはよう」とあいさつする。

 * 人と会話するときには、はつらつとした、げんきのいい声で

   話す。

 * カラオケや合唱などで歌を歌うことを趣味とする。

 * 本を読むときには、黙読ではなく、できるだけ音読するよう

   にする。

 * お経を読む習慣を持つ。詩を朗読してみる。

 ふだんから、このように「声を出す」習慣を身につけておけば、

多少ストレスが溜まるような経験をしても、心を乱すことがなくな

るでしょう。

「動じない心」で、何事にも冷静に、前向きに対処できるようにな

るのではないでしょうか。

「声を出す」ことは、脳を活性化するとも言われています。ですか

ら朝、元気のいい声を出せば、目覚めがよくなります。

 また、声を出す機会をたくさん作れば、いつまでも若々しい考え

方、発想ができるようになるでしょう。

 ただし、もちろん「怒鳴り声」「泣き声」「がむしゃらに大声を

出す」という行為は、逆効果になってしまいます。

 元気で、ほがらかで、明るい声を出すことが、いい影響をもたら

してくれます。元気な声は、自分の心を元気にしてくれます。ほが

らかで、明るい声は、自分の心をほがらかで、、明るくしてくれま

す。元気いっぱいの声は、自分のみならず、周りの人たちにもいい

影響をあたえることでしょう。

植西 聰 氏

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