行動

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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2015年10月

2015年10月30日 (金)

【46】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 世の中は「思い通りにならないもの」と考える

 せっかちな性格の人ほど、物事が思い通りにならないと、心がイ

ライラしてきます。

「今年こそ結婚を決めたい。なのに彼は、まだ結婚に乗り気ではな

いみたい」

「電車が遅れている」

「知りあいが、待ちあわせの時間を五分過ぎているのに現れない」

「レストランで注文したものが、なかなか出てこない」

「長話に付き合わされている。忙しいから、早く話を切り上げたい」

「これから寝ようと思っているところに、知り合いから電話がかか

ってくる」

 ここに挙げたような状況になると、せっかちな人は心のイライラ

が爆発しそうになってしまいます。

 実際に爆発してしまって、「なぜ約束を守れないんだ」「なぜ時

間通りにできないんだ」「なぜ、こちらの都合を考えてくれないん

だ」と、怒ってしまう人もいるのではないでしょうか。

 とはいえ、この世の中は「思い通りにいくこと」よりも、「思い

通りにならないこと」のほうが、ずっと多いのが現実です。

 ですから、せっかちな人は、一日中朝から晩までイライラ、カリ

カリしていなければなりません。

 平安時代の天台宗の仏僧である源信は、「人の世にあるとき、求

めるところ意の如くならず」という言葉を残しています。

「世の中は、とかく思うようにならないものだ」という意味です。

 源信は、「だから思い通りにしようと思ってはいけない。そう思

うからイライラが溜まる。最初から、思い通りにならないものだと、

あきらめておけばいい」と言っているのです。

 この源信の教えに従うことが、何があっても心が動じることなく、

安らかに生きていくための秘訣になるのではないでしょか。

植西 聰 氏

2015年10月29日 (木)

【45】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 落ち込んでいるときは、心が安らぐ言葉をかける

 激しく落ち込んでいる人に、言ってはいけない言葉があります。

「がんばってください」という言葉です。

 不用意に「がんばって」と励ますと、相手はいっそう落ち込んで

しまいます。

「わたしは精一杯がんばっている。だけど、うまくいかないのだ。

がんばってと言われても、これ以上どうがんばればいいのか」と、

いっそう落ち込んでしまうのです。

 ですから、落ち込んでいる人には「がんばって」ではなく、もっ

と心に安らぎを与えるような言葉をかけてあげるとよいでしょう。

 * だいじょうぶ。

 * 何とかなる。

 * 気にすることはない。

 * 楽に生きていこう。

 このような言葉です。

 これは「自分自身に対して」も同じことです。

 ときには自分に「がんばれ」という声をかけて励ましたあげること

も大切でしょう。

 しかし、失敗したり、挫折したり、誰かに叱られたりして落ち込ん

でいるときには、自分に向かって「何をボヤボヤしているんだ。もっ

とがんばれ」という声をかけるのは禁物です。

 それは自分自身を、ますます落ち込ませる原因になります。

 ですから、そういうときには、「だいじょうぶ。なんとかなる」と、

自分の心を慰めてあげるほうがいいでしょう。

「がんばれ」と自分励ますのと同時に、そのときの状況によっては、

上手に自分を慰めることのできる人が、「動じない心」で物事を最後

まで成し遂げることができるのです。

植西 聰 氏

2015年10月28日 (水)

【44】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 時間がなくても瞑想はできる

「毎日忙しくて、のんびり瞑想にふけっている時間なんてない」と

言う人がいます。

 しかし、瞑想するのに、それほど手間も時間もかかりません。

 感情が高ぶったときに、二、三度腹式呼吸を繰り返すだけでも、

心の乱れを整え、感情を静め、動じない心を作るのに役立ちます。

「瞑想する時間がない」と言う人は、おそらく禅寺で行われるよう

な座禅のイメージがあるのではないでしょうか。

 禅寺では、一回の坐禅は、一本の線香が燃え尽きるまで続けるの

がよいとされています。時間にすれば、三十分から四十分ぐらいで

す。

 確かに、「それだけの時間を瞑想についやすことはできない」と

いう人も多いでしょう。しかし禅には、坐禅の他に「立禅」という

方法もあります。文字通り、立ちながらする禅、つまり瞑想です。

 立禅であれば、たとえば電車の中でもできます。吊革につかまり

ながら呼吸を整え、瞑想にふけってもいいでしょう。

 朝と帰りの通勤電車の中で、それぞれ十分程度瞑想する時間を作

ることなら、どんなに忙しい人でもできるはずです。

 座席に座れたときには、座席に座りながら瞑想すればいいのです。

 仏教の説話に、こんな話が残されています。

 ブッダが弟子たちを連れてガンジス川を渡ろうとしたのですが、

あいにく舟が向こう岸へ行ってしまっていました。舟がこちら岸へ

戻ってくるまで、ブッダは弟子たちに「瞑想しよう」と語りかけ、

河原で冥想を始めました。

 仏教説話には、ブッダがこのように瞑想する場面がよく登場しま

す。暇さえあれば、ブッダは時と場所を選ばず、瞑想にふけってい

たのです。

 それくらい「動じない心」を育むためには、瞑想が大切だとブッ

ダは考えていたのです。

植西 聰 氏

2015年10月27日 (火)

【43】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 深い呼吸で心を無にする

 瞑想する際の呼吸法について、詳しく述べておきます。

 おへその下あたりの奥の部分を、漢方医学では丹田と言いますが、

この部分へ空気を溜め込むように意識しながら、息を吸い込みます。

 息を吸い込むときには、当然お腹が膨らみます。

 肺の力で息を吸い込むのではなく、お腹を膨らませることによっ

て、いい空気を体内に取り込む、といった感覚です。

 息を吐き出すときには、お腹をへこませます。

 しかし、一気に吐き出してしまってはいけません。できるだけゆ

っくりと息を吐き出すのがコツです。

 その際に、息を吐き出すことたけに気持ちを集中させます。

 体の中から悪いものをすべて吐き出す気持ちを持つとよいのです。

 そうすることで、心からよけいなものが取り払われ、心が「無」

の状態になります。

 心を「無」の状態にすることが大切なのです。そうすることによ

って、深い意味で心が静まります。

 焦りや、イライラした感情、迷いや戸惑いが、心の中から取り払

われるのです。そして心が整理され、冷静に、今の状況にどう取り

組めばいいのかが見えてきます。信念を持って、「こうすればいい」

と決めたことへ突き進んでいく行動力が生まれます。

 本来であれば、一日十分程度、瞑想する時間が取れればいいので

すが、二、三回、この丹田を意識した深い呼吸を繰り返すだけでも、

十分に効果があります。

 あわただしい生活に追われている現代人には、「心を無にする」

機会がありません。

 しかし、心を無にする機会を作ることは、動じない心で暮らして

いくために、とても大切なのです。

植西 聰 氏

2015年10月26日 (月)

【42】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 乱れた心を瞑想で整える

「動じない心」を身につけるため、瞑想する習慣を持つことは、と

ても有効です。

 瞑想は乱れた心を落ち着け、怒りやいら立ちを静め、心から迷い

を取り払ってくれます。

 瞑想をすることを勧めると、よく次のような質問をされることが

あります。

 * 瞑想と言われても、どんなことをすればいいのかわからない。

 * どんなときに瞑想すれば効果的か。

 * 忙しくて瞑想する時間がない。

 では、このような疑問に対して、どのように日常生活の中に瞑想

する習慣を取り入れていけばよいのかを説明していきたいと思いま

す。

「瞑想する」と言うと、何か特別な能力がないとできないと思って

いる人が多くいます。しかし、そのようなことはありません。老若

男女、誰でもできます。

 基本的な方法を箇条書きにしておきます。

 1.目を軽くつぶる。

 2.気持ちを静める。

 3.何も考えない。

 4.呼吸を意識する。

 5.腹式呼吸で、深く息を吸いこむ。

 6.ゆっくりと時間をかけて息を吐く。

 ポイントは「呼吸」です。お腹を膨らませながら鼻から深く息を

吸い、お腹をへこませながらゆっくり、時間をかけて息を吐き出し

ます。

 それだけでも気持ちの乱れを防ぐことができます。

植西 聰 氏

2015年10月23日 (金)

【41】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 一日のはじめに、ゆとりの時間を持つ

「一年の計は、元旦にあり」と言いますが、「一日の計は、一日の

はじめにあり」とも言えるのではないでしょうか。

 いずれにしても「出だしが肝心」です。

「出だし」につまずくと、その後もアタフタとした状態になってし

まいます。

「どうしよう。遅刻しそうだ」と、慌てて家を飛び出してきた日は、

職場へ行っても、学校へ行っても、落ち着いた気持ちで仕事や勉強

に取り組むことができません。

 気持ちが落ち着かず、集中力が散漫となって、つまらないミスを

連発するかもしれません。授業の内容も、頭に入ってこないかもし

れません。

 仕事や勉強に集中して打ち込むためには、「一日のはじめの過ご

し方」が大切になってきます。

 一日のはじめは、ゆとりの時間を持つよう心がけましょう。

 できれば、庭を歩いたり、近所の公園を散歩する時間を作るとよ

いでしょう。

 朝の空気は清々しく感じられるはずです。木々の緑も美しく感じ

られます。鳥の鳴き声も元気です。

 そのように、「自然に接する時間」を持つことで、職場や学校へ

行ってからも、心にゆとりを持って、また集中して、仕事や勉強に

打ち込めるようになるでしょう。

 一日のはじめに、いい時間の過ごし方をすれば、その日一日が「

充実した、いい日」になります。

「動じない心」は、ある意味「心のゆとり」から生まれると思いま

す。

 心にゆとりがない状態でいると、ちょっとしたことで心が乱れ、

集中力が失われてしまいます。

 心のゆとりを作り出すためには、「ゆとりある一日のはじめの時

間」を過ごすことが大切です。

植西 聰 氏

2015年10月22日 (木)

【40】「動じない心」の作り方

第6章

 あわただしい日々の中に安らぎを見つけ出す

 〇 スケジュールを前倒しする

「毎日忙しい。時間に追いまくられながら暮らしている」という思

いを抱きながら、暮らしている人が多いのではないでしょうか。

「忙しい」の「忙」という字は、「心を亡くす」と書きます。

 しかし、どんなに忙しくても、自分を見失うことなく、ゆとりの

ある心で暮らしている人たちもいます。

 では、忙しい中でも、心を亡くすことなく、ゆとりを持って暮ら

していくには、どうすればいいのでしょうか。

 その一つの方法が、時間の使い方を工夫してみることです。

 たとえば、「予定の時間を五分前倒しして始める」習慣を心がけ

る、という方法があります。

 * 起床時間より五分早く寝床を出る。

 * 始業時間の五分前に仕事を始める。

 * 会議のときは、五分前に席についている。

 * 終業時間の五分前に仕事を終える。

 * 待ちあわせの時間の五分前には到着しておく。

 このように「五分スケジュールを前倒しする」という習慣を持つ

だけでも、心にゆとりが生まれるでしょう。

「時間に追われる」のではなく、「自分から時間を先取りする」と

いう気持ちで生活できるようになります。

 気持ちも前向きになり、何事にも積極的に立ち向かえるようにな

ります。

 そして、どんなに忙しい状況でも、動じない心で暮らしていくこ

とができるようになるのです。

植西 聰 氏

2015年10月21日 (水)

【第5章のポイント】「動じない心」の作り方

第5章「自分を守ってくれるもの」を大切にする

 心の支えとなるものを作っておけば、

 心が動じることはない。

「日々の成長を記録していく」習慣が、

 動じない心を作る。

 お金にケチケチせず、むしろ上手に

 お金を使うことで安心感を得られる。

「自分を守ってくれる存在」を信じれば、

 安らかに生きていける。

「自分を守ってくれているものを

守ってあげる」気持ちを持つ。

植西 聰 氏

2015年10月20日 (火)

【39】「動じない心」の作り方

第5章

「自分を守ってくれるもの」を大切にする

 〇「自分が守らなければならないもの」を見つける

「自分を守ってくれるものを、守ってあげること」が、より深い安

心感、より大きな「動じない心」をもたらしてくれるということは、

前項で触れました。

「わたしは両親によって守られている」と、両親の愛情に甘えてば

かりいるのではなく、みずから両親を安心させ、両親に喜んでもら

えるように、立派な人間になるよう努力する必要があります。

 いい学校を出て、いい就職先を見つけ、やりがいのある仕事に就

いてがんばっている姿を見せることは、両親を安心させることにな

りますが、それは同時に自分自身の人生を安心して、動じない心で

生きていくことにつながります。

「わたしは会社に守られている」と、会社にオンブにダッコで依存

するのではなく、会社の永続的な発展のために一生懸命貢献しまし

ょう。

 リストラの対象になりやすいのは、会社に依存している人たちで

す。

 会社のために貢献している人は、リストラの対象にはならないで

しょう。

 また、一生懸命働いて成果を出している人は、たとえその会社が

倒産したとしても、他の会社が放っておかないでしょう。「ぜひ、

うちの会社に来て働いてほしい」という声が、たくさん届くのでは

ないでしょうか。

 そう考えれば「会社を守る」ことを心がけていくほうが、単に「

会社に守られている」と安心しているよりも、より大きな安心感を

得られるでしょう。

「自分を守ってくれているものは何か」を考えると同時に、「自分

が守っていかなければならないものは何か」を考えましょう。

 それが見つかれば「動じない心」で、安心して暮らしていくこと

ができます。

植西 聰 氏

2015年10月19日 (月)

【38】「動じない心」の作り方

第5章

「自分を守ってくれるもの」を大切にする

 〇 自分を守ってくれるものを「守ってあげる」気持ちを持つ

「自分を守ってくれる存在」を信じることが、「安らぎの心」「動

じない心」をもたらしてくれます。ここでさらに話を進めます。も

っと深い安らぎ、もっと強い不動心を作る方法があります。それは、

自分を守ってくれる存在を、自分のほうから積極的に「守ってあげ

る」ことを心がけることです。

 あるお寺での話です。その寺へよく参拝し、来れば必ず「交通安

全」のお守りを購入していく男性がいたそうです。

 ある日、その男性が寺の住職のところへやってきて、こう言いま

した。

「こちらの交通安全のお守りは、本当に御利益があります。わたし

は多少乱暴な運転をする人間なのですが、それでもこれまで事故を

一度も起こしたことはありません。これからもスピードを出したり、

危ない運転をすることもあるでしょうが、このお守りが自分を守っ

てくれていると思うと、安心していられます」

 この話を聞いて、その住職は彼に説教をしました。

「あなたは、お守りを持つことの意味を勘違いしているようです。

お守りというのは、あなたを守ってくれる存在ではありません。お

守りに宿っている仏様を、あなた自身が守ってあげなければならな

いのです。ですから、お守りの仏様を交通事故にあわせないように

と、交通運転を心がけなければなりません。そうやって、お守りの

仏様を守ってあげるという意識が、じつは、あなた自身を守ること

につながるのです。お守りが守ってくれているからと、このまま危

ない運転を続けていたら、今後、悲惨な目にあうことになるでしょ

う」と。

 この話は「動じない心」を考えるうえでも、とても興味深いもの

です。

「守られている」という以上に、もっと深い、もっと大きな「心の

動揺から離れて、深い安らぎに満ちた生活」を得るために大切なの

は、「自分を守ってくれるものを守ってあげる」ことを心がけるこ

となのです。

 この住職は、そのことを教えてくれているのです。

植西 聰 氏

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