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kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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2015年11月

2015年11月30日 (月)

【63】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇はじめに笑いを取り、なごんだ雰囲気を作る

「笑い」には、緊張感を和らげ、心の乱れを静める効果があります。

 ですから、「緊張でガチガチになったときには、まず笑える話を

する」というのも、あがり症克服の大事なポイントになります。

 人前に立って何かを話すときや、大切な商談、好きな異性と二人

きりになったときなどは、いきなり本題に入るのではなく、まずユ

ーモアを言うことから始めるようにしてみたらどうでしょうか。

 はじめに、おもしろい、笑える話をすることで、その場がなごみ

ます。とてもリラックスした雰囲気になるのです。その結果、自分

の心の緊張もほどけ、落ち着いた気持ちで話をリードしていけるで

しょう。

 書店へ行けば、たくさんの「ユーモアのネタ本」が出版されてい

ますから、そのような本を読んで、「こういう場面では、こんなユ

ーモアを使う」ということを決めておいていいかもしれません。

 また、相手の笑いを取って、その場をなごませるには、「失敗談

を話す」のも効果的です。

 ドジなことをした経験や、とんでもない間違いで冷や汗をかいた

という体験談は、笑いを取るためのいいネタになります。

 失敗談を話すことを、恥ずかしがってはいけません。堂々と失敗

談を話しましょう。そのほうが笑いを取れます。

 また、深刻な顔をして、重い失敗談を話すのも禁物です。相手に

緊張感を与えるような話し方をしたら、相手は笑ってくれません。

 笑わせようとした話で相手が笑ってくれないと、自分の緊張感は

さらに増す結果になってしまいます。軽い話で笑いを取るのがコツ

です。

 相手が笑うことで自分の心がほぐれると、リラックスしてのぞむ

ことができるようになります。

植西 聰 氏

2015年11月27日 (金)

【62】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇緊張していることを正直に告白する

 緊張からあがってしまって、ガチガチになっているときには、そ

んな自分お姿を隠そうと思うよりも、むしろ「わたし、緊張してい

ます。ガチガチになっています」と正直に告白してしまう、という

方法があります。

 正直に告白することで、心が動じなくなり、気持ちが落ち着くこ

とがあるからです。

「ガチガチになっているのを気づかれたくない。気が小さいと思わ

れるのはイヤだ」という気持ちから、じつは、よけいに緊張感が高

まってしまうケースも多いのです。

 江戸時代の禅僧、白隠は、「鈍な者でも正直になれば、神や仏に

なるが筋」と述べています。

「劣ったところがある人であっても、正直をモットーとして生きて

いけば、神にも仏にもなれる。何事にも動じることのない、強い存

在になることができる」という意味です。

 ここでは「劣ったところがある人」を、「あがり症の人」に置き

かえて、この言葉を読んでみましょう。

「あがり症の人であっても、正直をモットーとして生きていけば、

何事にも動じることのない、強い存在になれる」という意味になり

ます。

 わたしは、この白隠の言葉を、このように「あがり症の人」に置

きかえて読んでも、いっこうに差し支えないと考えています。

 あがり症の人は、人前であがってしまう性格のために、「自分は

ビジネスマンとして成功できない」と考えがちです。

 しかし、悲観的になる必要はありません。

 正直に「わたしはガチガチです」と告白しましょう。

「ガチガチになって何が悪いのだ」という気持ちで、堂々としてい

ましょう。

 下手に隠そうと思うよりも、そのほうが何事にも動じない心で対

処できます。

植西 聰 氏

2015年11月26日 (木)

【61】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇「自分をコントロールできている」という自信を持つ

 仏教の言葉に、「病は不自信の処に在り」というものがあります。

「病」とは、ここでは「体の病気」という意味ではありません。「

心の乱れ。精神的な苦悩。悲しみや、怒り、いら立ち」といったも

のを指しています。

「不自信」という言葉は、「自分を上手にコントロールできない状

態」を意味しています。

「自分を上手にコントロールできないから心が乱れる」というのが、

言葉全体の意味になります。

 この言葉は、あがり症を克服するためにも参考になります。

 まさに「自分を上手にコントロールできないから、心が緊張して

ガチガチになってしまう」のではないでしょうか。

 よく「緊張して、頭がまっ白になってしまった」と言う人がいます。

 この「頭がまっ白になる」というのは、「自分をコントロールで

きなくなった状態」を言い表わしています。

 ですから、言いかえれば、「自分をコントロールできている」と

いう自信を持てれば、あがり症を克服できるのです。

 その具体的な方法を、二つ紹介しておきましょう。

 * 深呼吸を何度か繰り返す。

 * ストレッチをして体をほぐす。

 いずれもリラックス法としてよく知られていますが、ここでのポ

イントは、「自分は今、息を吸って吐くという行為を意識した通り

に行っている」「自分は今、意識した通りに手足を動かしている」

と考えながら、深呼吸やストレッチを行うことです。

 そう意識することで、「自分をコントロールできている」という

自信が生まれます。

 すると、自信を持って、緊張する場面を乗り越えられるようにな

ります。

植西 聰 氏

2015年11月25日 (水)

【60】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇「予期不安」を捨て、「楽天思考」を心がける

 心理学に「予期不安」という言葉があります。

「もし失敗したら恥をかくことになる」

「きっと相手に嫌われる結果になるだろう」

「プレゼンは、たぶんうまくいかない。職場での評価も下がるだろ

う」

 このように「将来のことを予想して、それに不安を感じる人間の

意識」のことを言います。

 この「予期不安」も人前に出るとあがってしまう大きな原因の一

つでしょう。

 こんな例があります。あるプロ野球のピッチャーが、ある打者と

対戦しました。

 そのとき、ピッチャーの頭には、「この打者には、何となくホー

ムランを打たれそうな気がする」という思いが浮かんだそうです。

「もしホームランを打たれたら逆転されてしまう。そうなれば自分

が負け投手になる。チームメイトから非難されるだろうな。応援に

来ている人たちからもバカにされるだろう」というネガティブな想

像が次々と浮かんできました。

 すると、その打者と対戦するのが怖くなってきて、心がガチガチ

に緊張してしまったのです。

 結果的に心が動揺し、スピードのある球を投げられず、本当にホ

ームランを打たれてしまったそうです。

「予期不安」は往々にして、このような痛い失敗を招きやすいのです。

 このような「予期不安」におちいらないようにするためには、「

楽天思考」を心がけることです。

 楽天思考とは、「将来のことをあまり心配せず、物事を楽天的に

考える心の習慣」です。

 それによって、心の動揺を上手にコントロールできるのです。

植西 聰 氏

2015年11月24日 (火)

【59】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇イメージトレーニングをしてから、大切な場面にのぞむ

「緊張せずに、平常心で大切な場面ののぞむ」には、事前にイメー

ジトレーニングを行っておくことも大切です。

 今、プロスポーツや、オリンピックのような国際競技の世界では、

幅広くイメージトレーニングが採用されています。

 イメージトレーニングとは、緊張感が高まる状況で、自分が持っ

ている能力をフルに発揮するためのトレーニング法です。

 この方法は、一般の人たちの、あがり症克服法にも役立ちます。

 色々なやり方がありますが、基本的なことは次の二点です。

 1.頭の中で緊張する場面を思い描く。

 2.その場で自分がリラックスして、能力を発揮しているところ

   をイメージする。

 まず自分が今、「あの場面に立つと、ガチガチになってしまうだ

ろうな」と思っている状況を、できるだけ具体的にイメージします。

 そこはどういう場なのか、どういう人たちが一緒に居あわせてい

るのか、自分がどの場所に立っているのかできるだけ具体的に思い

描いてみるのです。

 次に、その場で自分が落ち着いて話し、冷静に相手の言葉に対処

しているのをイメージします。

 また、自分の話が相手に受け入れられ、高い評価を受けている場

面をイメージします。願いがかなえられるイメージを心に思い描く

のです。

 このイメージトレーニングを何度も繰り返します。特に寝る前に

行うと、より効果的だと言われています。

 イメージトレーニングを繰り返すことによって、「動じない心で、

自信満々に、その場にのぞめる」という自信が蓄えらえていくでし

ょう。

植西 聰 氏

2015年11月20日 (金)

【58】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇「よく見せたい」という欲をセーブしてみる

 人は、なぜ「あがる」のか、考えてみましょう。

 それは、「もっとうまくやりたい」「自分のいいところを見せた

い」「高く評価されたい。尊敬されたい」という気持ちがあるから

ではないでしょうか。

 好きな異性と二人きりになって「ガチガチに緊張してしまう」の

は、相手に「よく思われたい」という強い意識が働いているからです。

 しかし、異性であっても、兄弟姉妹が相手なら、そのような緊張

感を感じることはありません。

 それは「いいところを見せたい」といった気持ちがないからでし

ょう。

 ですから、好きな異性と一緒にいるときも、「よく思われたい」

「いいところを見せたい」という気持ちを少なくするよう心がけれ

ばいいのです。

「よく思われたい」と思うのも、一つの人間の欲ではないかと思い

ます。

 この欲を少なくして、「自分にはダメなところもたくさんあるが、

ありのままの自分を見てもらえばいい。そのほうが相手との相互理

解も深まる」と考えるように心がけるのです。

「よく思われたい」と意識しすぎて、緊張からとんでもない失敗を

して恥ずかしい思いをするよりも、ありのままの自分を理解しても

らうほうが、相手への印象もよくなるのではないでしょうか。

 こちらがありのままの自分を出せば、相手も自然な態度で接して

きてくれます。

 そのほうがお互いの心も、深い部分で通いあうのではないでしょ

うか。

 この考え方によって「動じない心」を作ることができます。

植西 聰 氏

2015年11月19日 (木)

【57】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇姿勢を正し、呼吸を整える

 仏教の「禅」には、「調身、調息、調心」という言葉があります。

 これは、「姿勢を正し、呼吸を整えることで、おのずから心が落

ち着いてくる」という意味です。

 この禅の教えも、「あがり症を克服する」ヒントにはなるのでは

ないでしょうか。

 人前に立ってガチガチに緊張してきたときには、「落ち着かなく

ては。気持ちを静めなくては」と誰もが思います。

 しかし、いくらそう思っても、人の心というものはなかなか思い

通りになってくれません。

 かえって、ますます緊張してしまい、自分をコントロールできな

い状態になってしまう場合も多いのではないでしょうか。

「心を落ち着かせる」「気持ちを静める」以前に、まず試してほし

いことが二つあります。

 * 背筋をシャンと伸ばして、堂々とした姿勢を取る。

 * 腹式呼吸で、息を深く吸い込み、ゆっくりと吐き出す。

 禅で言う「調身」「調息」を、まず実践してみてほしいのです。

 姿勢を正すだけで、「だいじょうぶ。うまく乗り切ることができ

る」という自信が生まれてくるでしょう。

 そして、腹式呼吸で呼吸を整えていくうちに、気持ちも自然と落

ち着いてくると思います。

 人の「体」と「呼吸」と「心」は、密接に影響しあっています。

 緊張から背中を丸め、呼吸も乱れている状態で気持ちを落ち着か

せようと思っても、なかなかうまくいきません。

 ですから、まずは「体」と「呼吸」を整えましょう。そうするこ

とで緊張感が消え、落ち着いていきます。

植西 聰 氏

2015年11月18日 (水)

【56】「動じない心」の作り方

第8章

 「あがり症」を克服して自信を持つ

 〇緊張するのは当たり前だと考える

 人前に出ると「あがってしまう」と言う人がいます。

 パーティで、スピーチをしなければならなくなったとき。

 プレゼンの司会を任されたとき。

 会議で発表をするとき。

 このような状況であがってしまって、ふだんはしないような失敗

をしたり、何を話したらいいかわからなくなり、頭の中がまっ白に

なった、という経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

 そういう意味で、人前に出て何か話すときにも「動じない心」を

手に入れたい、と考えている人も多いのではないかと思います。

 それでは、「あがり症」克服法について、いくつかアドバイスし

ていきましょう。

 まず言っておきたいのは、「あがる」ということは、何も特別な

反応ではないということです。人前に出れば、誰であっても緊張し

ます。

 どんなに度胸がある人でも、緊張して心臓がドキドキしたり、手

足の動きがきごちなくなったり、体がガチガチに固くなることがあ

るのです。

 ですから、「自分は特別だ」と思わないようにしましょう。

 自分は特別だと思うと、緊張感がいっそう高まり、ますます舞い

上がってしまうことになります。

「緊張するのは当たり前だ」と考えることです。

 そして、緊張する状況においても、自分が持っている能力を十分

に発揮できる、と考えてみましょう。

「あがってしまうから、実力が発揮できない」と考えてはいけません。

 あがっていても、存分に力を発揮することは、必ずできます。

 その方法を焦らず、学んでいくことが大切です。

植西 聰 氏

2015年11月17日 (火)

【第7章のポイント】「動じない心」の作り方

第7章 日々の習慣から「動じない心」を作る

 生活の乱れを正せば、

 心の乱れも正される。

 シンプルな生活を

 楽しむ心を持つ。

 字をていねいに書くと、

 気持が落ち着く。

 心が乱れているときは、

 身の周りを掃除してみる。

「やりたい」と思って

 いることを行動に移す。

植西 聰 氏

2015年11月16日 (月)

【55】「動じない心」の作り方

第7章

 日々の習慣から「動じない心」を作る

 〇自分の生活の中に満足できる点を探す

「無量寿経」という仏教の経典に、次のような言葉が出てきます。

「田あれば田を憂え、宅あれば宅を憂う。田なければまた憂えて、

田があることを欲し、宅なければまた憂えて、宅あることを欲する」

 この言葉をわたしなりに現代語訳すると、次のようになります。

「田んぼを持っていない人は、『田んぼが欲しい』と嘆きます。

 しかし、田んぼを持つことができれば、今度は『どうしてわたし

の田んぼは作物の収穫量が悪いのだ。雑草ばかり生えてくるのだ』

と言って嘆きます。自分の家を持っていない人は、『自分の家を持

ちたいものだ』と嘆きます。しかし、自分の家を持つことができた

ら、今度は『住み心地が悪い。周りの環境が悪い』と言って嘆きま

す。結局、人間は一生嘆いてばかりいるのです」

 この経典に出てくるように、「嘆いてばかり人生」を送っている

人は、今の世の中にも多いのではないでしょうか。

 もちろん、嘆いてばかりの人生では、生きていて何の楽しみもな

いでしょう。生きることに前向きな気持ちになれません。

 そこで発想の転換をしてみましょう。

「不満に思うことを探す」のではなく、どのような生活であれ、自

分の生活に「満足できるところ」を探す、という心の習慣を持つの

です。

「田のない生活」「家のない生活」であっても、おいしい食事が食

べられるとか、親しい友人がいるとか、満足できる点はあるはずで

す。それを自分なりに探してみるのです。

 もちろん「田のある人」「家のある人」は、それに満足しましょう。

 そうすれば、心が動じることなく、自分の人生を前向きに、楽し

い気持で生きていくことができるでしょう。

植西 聰 氏

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